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第2回連続公開講演会「法華経展とその世界――思想と伝播の系譜から」

◆講師:末木 文美士氏(東京大学名誉教授)

◆開催日:2021年11月27日

◆方式:YouTubeライブ配信(オンライン)

連続公開講演会「法華経展とその世界――思想と伝播の系譜から」開催趣旨

講演内容は「東洋学術研究」に掲載予定

 

末木文美士氏は、東京大学文学部印度哲学専修課程を卒業の後、同大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学で文学博士を取得。仏教学、日本思想史、宗教史を研究領域とし、中世仏教史研究をはじめ、近年は近現代の仏教思想も研究を進めている。これまで、東洋哲学研究所ヨーロッパセンターでの講演「法華経と日蓮」(2002年)や、研究所創立50周年の際には「東洋学術研究」誌上にメッセージを送っている。

 

講演では、『法華経』を菩薩論として捉え、それがどのように東アジアに展開したかを主題として、①『法華経』と菩薩②中国天台の人間観③最澄と菩薩の精神④菩薩精神の展開と日蓮――の4点にわたって論究を行った。

 

末木氏は、法華経は菩薩論として捉えることができる経典であることを示し、菩薩は自分だけでなく、ほかの人も一緒に幸福になるという存在という意味で重要であると強調。ブッダの滅後、「どうやってブッダは救済者になったのか」「どれほど素晴らしい人だったのか」を弟子が問い続けるなかで形成されたのが菩薩であると述べた。

 

また、菩薩の修行である六波羅蜜のなかから布施について触れ、他の5つは一人でもできる修行であるが、布施は他者を必要とすることに言及。菩薩の修行は仏になるためのものであるが、自分の為だけでなく他者の幸福を求める心が大事となると述べ、その修行を他の人と一緒に自他共に行っていく菩薩の実践に注目した。そして、こうしたことが説かれ、皆が菩薩であるというのが法華経であり、その実践を仏の力によって行うことができることを教えていると語った。

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