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第33回 学術大会

 

第33回学術大会が3月24、25日に開催された(会場:24日=創価大学/25日=東洋哲学研究所)。

研究所の学術大会は、国内外の研究員・委嘱研究員が集い、法華経研究をはじめ、宗教間・文明間対話、平和と人権、環境問題などの課題克服の研究成果を発表する機会であり、それぞれの専門・研究分野を踏まえたテーマで発表を行った。

第33回学術大会には、韓国宗教学会前会長で、西江大学教授の金在榮博士を招聘。博士は、宗教心理学の研究を進め、特にアメリカのジョン・デューイおよびその師であるウィリアム・ジェームズに関する研究を行っている。

シンポジウムの統一テーマは、「21世紀と宗教――地球文明の構築へ向けて」。これは、東洋哲学研究所創立者である池田大作SGI会長が、1993年にハーバード大学で行った講演「21世紀文明と大乗仏教」を踏まえたものである。同講演でSGI会長は、大乗仏教が21世紀文明に貢献しうる視点を、「平和創出の源泉」「人間復権の機軸」「万物共生の大地」の三点から展開し、21世紀の人類が一人一人の「生命の宝塔」を輝かせ、「開かれた対話」を通して、「人間と平和の世紀」を実現することなどを語った。この講演から、21世紀の地球文明構築への、宗教なかんずく大乗仏教の可能性を改めて論じ、その実現の為の学術的なアプローチを図るためにシンポジウムを開催した。※シンポジウムの詳細は「東洋学術研究」に掲載

金在榮博士は「心理学的側面からアプローチする池田会長の宗教観」をテーマに、大要、以下のような講演を行った。

本日は、東洋哲学研究所・創立者である池田会長を、心理学的側面から見ていきたいと思います。会長の人物像について、私は様々な人や文献などを通して、イメージを確立していました。そうした発見のなかで、会長への理解が変化していったのです。

私が研究する心理学者ウィリアム・ジェームズと池田会長を比較すれば、「人間の真価」「人間の変革」「因果応報」について考えていかなければなりません。それは、人間の外面から内面へと探求を進めることであり、自己を理解するための基礎となるものです。

私の友人であるラリー・ヒックマンは、SGIとも深い交流を結ぶ研究者ですが、彼を通して、私の理解も深まりました。そして、ハーバード大学のハービー・コックス博士との出会いも、同じ理解をもたらしました。

池田会長は、哲学的な専門用語や心理学、キリスト教などをコミュニケーションのために用いられています。本物の人間のために、本物の人間における変化、生身の人間が体験する宗教的な変革の過程を、世に伝えています。会長が編まれる対談集を読むと、一方的ではなく、対談する相手、読者、そしてすべての人たちが網羅される空間があると感じます。そこに有機的な第三の空間が構築されているのです。つまり直接対話せずとも、会長と対話をしているようになるのです。聞き手に対して排他的でなく、除外するのでもなく、一緒に体験を積むことができるのです。

シンポジウムでは、東洋哲学研究所の柳沼正広研究員が「恩恵と自由意志―エラスムスとルターの自由意志論争」、蝶名林亮研究員が「倫理学者が仏教から『適切に』学ぶ方法」を発表し、質疑応答を行った。



また、シンポジウムに先立つ24日午前、研究発表大会として、以下の発表が行われた。

・井筒哲学における言語アラヤ識の意味論的構造(山崎達也 研究員)

・The Migration Emergency in Europe: Intercultural Dialogue to promote mutual understanding(フランチェスカ・コッラオ 海外研究員)

・Dealing with Heterogeneity in the School Class(バーバラ・ドリンク 海外研究員)

・新・池田&ジュロヴァ文明間対話『大いなる人間復興への目覚め』に学ぶ(二宮由美 研究員)



25日の研究発表大会では、以下の発表が行われた。

・人はなぜ戦うのか-戦争の一般的原因の諸段階-(岩木秀樹 委嘱研究員)

・智顗著作における引用文献の考察(前川健一 研究員)

・自殺現象に関する考察-個別的心理からの視点-(山口力 委嘱研究員)

・『人生地理学』出版前夜(上藤和之 委嘱研究員)

・A・J・トインビー『歴史の研究』の視点から見た中国史に関する一考察―『歴史の研究』再考察篇・『図説 歴史の研究』を中心として(満田剛 委嘱研究員)

・2017年獅城国際戯曲学術検討会に参加して。報告と考察(藤岡道子 委嘱研究員)

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