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第31回 学術大会

 

東洋哲学研究所の研究員が研究成果を発表する第31回学術大会が3月19、20日の2日間にわたって開催された(会場:19日=創価大学/20日=東洋哲学研究所)。

国内外の研究員・委嘱研究員が集う学術大会は、法華経研究をはじめ、宗教間・文明間対話、平和と人権、環境問題などの人類的課題の克服と「地球文明の創出」を目的として行われてきたものである。19日午後のシンポジウム「地球文明の創出――多文化主義を超えて」では、米ジョージタウン大学心理学部教授のファターリ・モガダム博士を招聘。博士は、同大学政治学部・紛争解決プログラムのディレクターも務め、異なる文化に学び合い人類共通の倫理を探る「普遍的文化主義」を主張している。

 

※シンポジウムの詳細は「東洋学術研究」2016年第1号に掲載

 

博士は「普遍的文化主義と人類の道」をテーマに、大要、以下のような講演を行った。

現代のグローバル化によって、言語や文化などローカルなアイデンティティーが失われています。これからどのように世界が変革していくのかは、誰も予測できません。そして今、世界各国で起きている過激な反動は、外から来るものへの反動であります。さらに、大陸を超えてグループが速やかに移動できる時代です。中東から短期間に何百万人という人が南欧州に押し寄せ、南米から北米へも何千万人という民衆が移動してきています。

この大量な民族移動は新たな安全保障の問題を生んでいます。大勢の人が入ってくることでテロにつながると、民主主義の国家は法律を導入して自由を制限する動きをとっています。このように、人々の新しい接触が発生することを大きな脅威と感じる時代です。従来は、多文化主義・同化で対応してきました。しかし、少数派の人たちは、それを脅威と感じてきました。そして、国際的なレベルでは、非西洋文化の人々が脅威と思っていったのです。

多文化主義は差異を強調しすぎるあまり、問題があります。だからこそ、普遍的文化主義(オムニ・カルチャリズム)を主張したいのです。オムニはオールです。すべての人間に光を当てるのです。人間には共通な要素が多くあることに気づくために、私たちは変わらなければなりません。そして、そこから他者に学ぶことを認識することです。自己批判ができるということは、自分の信念がないということではありません。信念・確信というのは、他者と接する時に共通性を見つけることであり、差異を強調することではないのです。

シンポジウムでは、東洋哲学研究所の石神豊主任研究員による「文化と理念――要請としての生命尊厳」、蔦木文湖委嘱研究員による「ヨーロッパにおける移民・難民問題と多文化主義」の発表と質疑応答が行われた。 

また、シンポジウムに先立つ19日午前に、研究発表大会として、以下の発表が行われた。

・牧口常三郎の後期宗教論における自然主義的価値理論について(蝶名林亮委嘱研究員)

・キリスト教神学における悪の起源(山崎達也 研究員)

・文明間の共存を目指して-イスラームにおける戦争と平和観-(岩木秀樹委嘱研究員)

・教育は新たなグローバル・ヒューマニズムをどう構築できるか―地中海文明は多文化主義を超越するか(フランチェスカ・コッラオ海外研究員)



 20日の研究発表大会では、以下の発表が行われた。

・A・J・トインビーとR・G・コリングウッド(春日潤一委嘱研究員)

・1928年-1937年北平市社会局と慈善事業――香山慈幼院と龍泉孤児院を中心に(大江平和委嘱研究員)

・クシャン族王候像の姿―モンゴル出土刺繍毛織の群像をめぐって(川崎建三委嘱研究員)

・狂言の絵画資料研究の総括(藤岡道子委嘱研究員)

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