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第4回連続公開講演会「イスラームと仏教の対話」

【全4回】連続公開講演会「イスラームと仏教の対話」開催趣旨はこちら

 

講 師:小布施 祈恵子氏(神戸市外国語大学及びマギル大学客員研究員)

テーマ:仏教徒のイスラーム観:インド・タイ・日本

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略 歴略歴はこちら

◆開催日:2025年12月20日

◆方 式:YouTubeライブ配信(オンライン)

講演内容は「東洋学術研究」に掲載予定

 

講演では、仏教徒のイスラーム観の歴史的変遷を、インド、タイ、日本の事例から検証した。インドでは7世紀から接触が始まり、11世紀の経典には敵視と正確な記述が混在していた。「インド仏教がムスリム軍に滅ぼされた」という通説は、実は英国植民地支配下のプロパガンダであり、実際は複合的要因による漸次的衰退だったことが明らかにされている。現代タイでは草の根レベルの共存がある一方、仏教ナショナリズムがこの誤った通説を根拠に「イスラームの脅威」を強調している。日本では時代によってイスラーム観が変化し、開国前後には仏教の枠組みで理解し、戦時期には西洋中心の偏見を批判する動きが生まれた。戦後は西洋メディアの否定的見解を踏襲する傾向があるが、ムスリムとの直接的な出会いを通じて偏見を乗り越えた仏教者の事例も紹介された。結論として、偏見の多くは政治的思惑や西洋中心の言説から生じており、真の相互理解には歴史の検証と、人間同士の直接的な対話が不可欠であることが強調された。

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