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第3回連続公開講演会「信仰と理性――コロナ禍のなかで」

 

 

 

 

 

 

 

 

◆講師:市川 裕氏(東京大学名誉教授)
◆開催日:2020年11月28日
◆方式:YouTubeライブ配信(オンライン)

連続公開講演会「信仰と理性――コロナ禍のなかで」開催趣旨

講演内容は「東洋学術研究」に掲載予定

 

市川裕氏は、東京大学大学院で学び、宗教史学・ユダヤ教研究を専門とする。キリスト時代のユダヤ教に興味を持ち、エルサレムのヘブライ大学に留学をし、ユダヤ教の律法研究にも取り組んできた。筑波大学講師、東京大学助教授・教授などを歴任した氏は、ユダヤ思想に留まらず、日本の宗教にも研究の領域を広げ、比較宗教的な視点からも精力的に研究活動を続けている。

 

講演では、ユダヤ人が2000年もの間、国家も領土ももたず、マイノリティとして世界に離散しながら、宗教のネットワークによって絆を維持してきた集団であり、それが歴史学者・トインビーが期待した〝人類の未来の波〟であったことに言及。「20世紀前半の科学と戦争の時代にあって、ナチスのホロコースト、ソ連の宗教弾圧等により、欧州ユダヤ人社会は民族滅亡の危機に瀕しました。それと同時に、西欧の『信仰と理性』は『啓蒙と野蛮』に変質したのです」と述べた。

 

リトアニアのバーリン、レヴィナス、レイボヴィッツの3人を、ホロコーストに立ち向かったユダヤ人として挙げつつ、なかでもレヴィナスが、哲学者ハイデガーがナチスの党員であったことに絶望したことに触れた。それについて、「まさに信仰と理性の分断でありました。しかし、その一方で、『信仰の天才』ともいえるユダヤ教正統主義のラビであるシュシャーニと出会い、徹底して信仰を深め研鑽をすることで、師資相承が生まれたのです。レヴィナスは〝正真正銘のラビが一人いれば、ユダヤ教は存続する〟と言いました。誤った信仰との闘いが聖書を生み出したように、この場合は全体主義になりますが、宗教とは本来、精神の闘争なのです」と語った。

また、創価学会とホロコースト下でのユダヤ人の人権闘争の歴史の重なりに言及し、「杉原千畝やアンネ・フランクは、戸田城聖第2代会長、池田大作第3代会長と同時代を生きていました。世界と日本が危機的な状況なかで創価学会は生まれ、牧口常三郎初代会長が獄死した後、戸田会長が出獄し、ただ一人で創価学会の再建の闘争をされました。それはまさに、レヴィナスの言葉の通りだと思います。そして、戸田会長から池田会長へ万般の学問を授けた講義すわなち『戸田大学』こそが、師資相承であったのです。今、創価学会は世界192カ国・地域へと確固たるヒューマニズムの要塞を築き上げました。創価学会は、日本のなかで終わるものではなく、一人から始まり世界へと広がっていく宗教であります。まさに、トインビーが見通した、21世紀の新しい世界宗教として、広がっていくものと実感しています」と述べた。

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