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連続公開講演会第1回「経済倫理と宗教」(東方敬信・青山学院大学名誉教授)

◆講師:東方 敬信氏(青山学院大学名誉教授)
◆開催日:2018年10月16日
◆会場:TKP市ヶ谷カンファレンスセンター(東京・新宿区)


講演内容は「東洋学術研究」に掲載予定




 東方氏は、青山学院大学経済学部を卒業後、東京神学大学大学院で神学を専攻。デューク大学客員教授をはじめ、銀座や富士見丘教会等で牧師を務めてきた。専門は、組織神学、キリスト教倫理学。

 講演では、経済学に大きな影響を与えたアダム・スミスに言及し、「彼はモラル・フィロソフィー(道徳哲学)を説いた人でもあります。それは、人間は利己の精神だけではいけない、奉仕の精神が必要であるということです。そして、共感と知恵をもって、他の人のために深慮していくことを教えました」と述べた。

 さらに、キリスト教と仏教の宗教間対話の意義について言及。ノーベル経済学賞のアマルティア・センが、経済学の前提となっている功利主義哲学を批判し、「正義」「信頼」「共感」「献身」の必要性を訴えたことに触れ、「私は、アマルティア・センを通して仏教との対話を試みたい。彼が言った信頼は、互いに交流を深め合うという意味で『菩薩道』に通じると思います。 共感は、自己の幸福追求と他者の幸福追求のバランスをもたらすものですから、『自他同置』です。キリスト教の隣人愛の精神と通じるものです。そして献身は、不正義に対する犠牲をも厭わないことから、『布施』であると考えます。信仰によって、自らの生き方がどのように変わったのか。生活の価値判断がどう動いたのか。この献身が仏教の布施の精神と通じると考えます」と語った。


 そして氏は、「講演のテーマであるスチュワードシップとは、キリスト教において神と人を結びつけるための受託責任であり、精神であります。この地球上で生命が生きていくためには、人間・動物・植物が互いに支え合って、生かし合っていくことが大切です。すなわち、共利・共生が重要であって、偏利ではいけないのです」と訴えた。

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