特別公開講演会

◆講師:ライハナ・アブドゥーラ・博士(マレーシア マラヤ大学人文学研究クラスタ副院長)
◆開催日:2015年3月22日
◆会場:日本青年館(東京・新宿区)


講演内容は「東洋学術研究」2015年第1号に掲載

 

 
 ライハナ博士は、イスラーム家族法、イスラーム法とジェンダー、イスラーム法と社会を専門分野として、マレーシアにおけるムスリム女性の法意識の向上にかかわる活動などを行っている。イスラーム法弁護士資格を有し、マラヤ大学文明間対話センター所長等を歴任。現在、同大学人文学研究クラスタ副院長、イスラーム研究学部シャリーア法学科准教授を務める。

 博士は、東洋哲学研究所と同大学との共同シンポジウム「文明間対話――平和・共生・持続可能性」の開催(2012年10月)をはじめ、これまで東洋哲学研究所との交流推進に尽力し、同年に学術交流協定を締結している。特別公開講演会に先立つ東洋哲学研究所の第30回学術大会(3月21日、創価大学)では、「イスラームにおける男女の平等」をテーマに発表を行っている。

 講演会で博士は、現代世界において固定化されたイスラームのネガティブなイメージに言及し、「今回のような講演会は非常に重要な機会です。私の話を通して、イスラームの信仰や社会的情勢などについて、皆様がこれまでより良いイメージを得ることができれば、相互理解や共存の道が創られていくものと思います」と語った。

 さらに、ネガティブなイメージによって、イスラーム世界の女性や青年たちが抑圧されているとし、現状を変革しイスラーム文明が飛翔しゆくためには、彼らが自分たちの考えを発信し、パラダイムの転換を図る必要があることを述べた。博士は「歴史を振り返ると、植民地主義や紛争、テロ事件などによって、平和と共存が困難であったことが分かります。だからこそ、調和を生み、問題の解決を図るために、相互の対話を促進していくしかありません」と強調。「女性と青年が、対話の恩恵を受けるためには、長い道のりがあると思います。しかし私たちは、女性や青年たちが積極的に発言できる環境・コミュニティーを作らなければならないのです」と訴えた。

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