【シリーズ2-1】『ネパール国立公文書館所蔵 梵文法華経写本(No. 4-21)写真版』
この写本の写真版は、創価学会「法華経写本シリーズ」2-1として、1998年11月に出版された。その「ローマ字版1」(同シリーズ2-2) は2001年5月、「ローマ字版2」(同シリーズ2-3) は2004年3月に出版された。いずれも、「梵文法華経」写本研究の分野で世界的に令名の高い戸田宏文徳島大学名誉教授(文学博士)の監修・編著である。
戸田博士によれば、これは、ネパール系貝葉写本のなかで、古い部類に属する写本である。誤字、欠落、錯簡が多く見られることを勘案しても、ネパール系写本の全容の解明に不可欠の重要な写本である。
写本の冒頭は、ラーフラバドラの「妙法蓮華讃頌」で始まる。この写本は2つの部分からなる。Fols. 1―176, fol. 178b(A本)とfols. 177, 178a, 179a(B本)に分けられ、総計179枚である。B本は、A本の写しと考えられるが、B本にはA本にない奥書が加えられている。そこには、書写年月が記されている。ネパール歴271年(西暦1151年)のチャイトラ月(3-4月に相当)、アーナンダデーヴァ王の治世下で書写された。したがって、A写本の書写年代は、B写本と同じか、それ以前、およそ12世紀前半といえるだろう。写本の最後の部分が2つあることは、ケンブリッジ大学図書館所蔵本(Add. no. 2197)に見られ、書写年代の書き方は、同写本の第一本(131b, 3)に似ている。
高度な撮影技術が遺憾なく駆使された、極めて精巧なカラー写真の「レプリカ」と、世界最高権威の戸田博士によって、周到に練り上げられた正確無比の「ローマ字版」というかたちで、この貴重な写本が世界の研究者に広く公開されたことは、法華経研究・仏教研究のさらなる発展に多大な貢献を果たすことになるだろう。
『ネパール国立公文書館所蔵 梵文法華経写本(No. 4-21)——写真版』
発行者:創価学会
協力者:ネパール国立公文書館
写真監修:戸田宏文(徳島大学教授)、小槻晴明(東洋哲学研究所委嘱研究員)
発行日: 1998年(平成10年)11月18日
原典所蔵機関:ネパール国立公文書館
写本書写年代:12世紀ころ
写本系統:ネパール系貝葉写本のなかで、古い部類に属する写本
写本枚数:総計179枚
出版形態:原寸大カラー複製本、日本語、英語
非売品
巻頭言―――プルナ・バハドゥール・カドカ(青年スポーツ文化大臣)【PDF 70.6k】
巻頭の辞――池田大作(創価学会インタナショナル会長)【PDF 84.3k】
あいさつ――サニマイヤ・ラナ(国立公文書館館長)【PDF 68.4k】
あいさつ――秋谷栄之助(創価学会会長)【PDF 70.0k】
写真版使用に際しての留意点
写真版