ホーム講演会2021年第3回連続公開講演会「法華経展とその世界――思想と伝播の系譜から」

聖典としての仏教――法華経へ、そして法華経から――

◆講師:下田 正弘氏(東京大学大学院教授)

◆開催日:2021年12月4日

◆方式:YouTubeライブ配信(オンライン)

連続公開講演会「法華経展とその世界――思想と伝播の系譜から」開催趣旨

講演内容は「東洋学術研究」に掲載予定

 

下田正弘氏は、東京大学大学院人文科学研究科博士課程(印度哲学専門分野)満期退学後、同大学で文学博士を取得。東京大学助教授等を経て、現在東京大学大学院教授、日本印度学仏教学会理事長。印度哲学、仏教学を研究領域とし、インドにおける仏教経典の編纂過程の分析や大乗仏教の成立過程の研究、デジタル時代における新たな人文学である人文情報学(Digital Humanities)などを推進している。東洋哲学研究所との交流も長く、「東洋学術研究」誌上に「東アジア仏教の戒律の特色」も寄稿している。

 

講演では、『法華経』に仏教の全体を見るを主題として、①『聖典とはなにか』(What is Scripture: A Comparative Approach? W. C. Smith, 1993)②仏教の歴史的展開③ 仏教研究の方法と「三宝」④『法華経』と「法華経性」――法華経から、そして法華経へ の4点を中心に語った。

 

下田氏は「経典は物体ではありますが、それは自分自身を飛躍的に高めていく存在というとらえ方もできるものです。仏教は言語の力を認めつつ、限界も認めているからこそ、智慧と実践の双方を行き来することが重要です。また『求心』『遠心』という見方があります。最初口伝されていたブッダの教えを言語化するという『求心』から、それを他者に広げていくという『遠心』です。東哲の『法華経―—平和と共生のメッセージ』展も、経典を求めるという場を提供し、そこで学んだことを、それぞれの人が自分の場で広げていく『求心』『遠心』を形にしたものです」と述べた。

 

また、仏典に記されている歴史的経緯に触れ、「最初は仏宝と法宝だけであった。最初に帰依者がでてきて、そこにやりとりして、僧宝が出てきて三宝になると律蔵に載っている。一方で、歴史的な事実からすると、仏宝と法宝との存在は何から知るのかというと、僧宝つまり僧団(サンガ)からであります」と言及。法華経と出会うのも人を通して出会う。(人による)伝承がいなければ、仏と出会う術がないということになることを確認し、「そういう意味で、すべて同様に宝であるのだ、と私は理解している。中国であれ、日本、チベットであれ、すべて三宝に帰依するのが大原則であり、目の前に現れていることと、仏は別でないということが仏教の理解です」と語った。

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