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「仏教経典:世界の精神遺産
――写本と図像で知る法華経」展

フランス・パリ展

東洋哲学研究所が企画・制作する「仏教経典:世界の精神遺産――写本と図像で知る法華経」展の開幕式と記念シンポジウムが4月2日、フランス・パリのユネスコ本部で開催された(4月10日まで)。

同展は、フランス創価文化協会が主催。ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、インド文化国際アカデミー、中国・敦煌研究院が後援し、フランス・仏教学研究所によるパネル監修・図録作成などの協力があった。

 

同展は、東洋哲学研究所が世界各国で展開する「法華経――平和と共生のメッセージ」展での成果を、さらに仏教全体に広げたものである。仏教流伝の歴史や伝道に生涯を賭した先人の軌跡、長き時を経て現代に蘇った写本・木版本――展示パネルとともに文物を中心に展示を行っている。さらに、東洋古文書研究所が所蔵するオリジナルの写本26点が特別出品された。また開幕に合わせ、同展の展示カタログ(フランス語)がレ・インド・サヴァント社から発刊された。

 

オリジナル写本のなかには、1~2世紀に書写されたと推定されるガンダーラ語の樺皮写本である「法句経」、7~8世紀の書写といわれるソグド語「鸚鵡(おうむ)経」などが含まれる。さらに、東洋古文書研究所のイリーナ・ポポワ所長が「人類の遺産」と呼ぶ、極めて貴重な「ペトロフスキー法華経写本」も出展された。これは、東洋哲学研究所が1998年に開催した「法華経とシルクロード」展で、海外初公開されたもの。ペトロフスキー写本は8世紀の書写と推定される。世界各地の中央アジア写本コレクションに比べ、法華経、般若経、涅槃経といった大乗経典において状態の良い写本を大量に含むものである。出展にあたり、東洋古文書研究所のポポワ所長は「人類の遺産である写本は、多くの人に共有されなければなりません。専門家のみならず一般の方にとっても、オリジナルを観賞する機会は重要です」と語っている。

 

記念シンポジウム「仏教経典の主な教えの普及と受容」が行われた後、開幕式では、海外来賓のロケッシュ・チャンドラ理事長、ポポワ所長をはじめ、仏教学研究所のドミニック・トロティニョン所長、フランス創価文化協会のジャン=クロード・ゴベール会長、川田所長らによるテープカットが行われた。

 

観賞した来賓からは、次のような感想が寄せられた。

○トロティニョン所長(仏教学研究所)

仏教経典展には、学術的・教育的メッセージが込められています。フランスでは、仏教の研究は非常に盛んですが、実際に写本の現物を見ることはありませんし、その伝播の歴史もほとんど知られていません。東洋哲学研究所のおかげで、フランスで初めて極めて貴重で美しい作品を、この目で見ることができました。パリと法華経の関係は非常に深いです。つまり、ビュルヌフによる法華経の翻訳が始まった場所であるからです。この展示会は、その意味を再認識することができる機会なのです。


○エドモンド・リール会長(アブラハム友愛協会)

私は一神教(ユダヤ、キリスト、イスラーム)の統合を目指す運動をしておりますが、アジアで開かれていった仏教のような発展をしないといけないと考えています。なぜなら、私たちが確信に基づいて平和の精神を訴えていることは、仏教にも共通するものであり、他者を尊重し、人間の尊厳を守る点では一致しているからです。

この展示は、ヨーロッパの大衆に対して、仏教を知ってもらうだけでなく、より深く人間主義を理解する為のものであると思います。仏教のルーツや発展の歴史を知ることは、ヨーロッパ人にとって、重要な意味を持つのであり、仏教は、ヨーロッパで失われた大切な精神を有しているのです。今、宗教の名前を借りたテロリストの動きがあります。この危機の社会にあって、自他共を尊重し、憎悪を乗り越える鍵は仏教にあると思うのです。


○アザリ・アルランドン会長(タゴール・サガン国際協会)

東洋哲学研究所のイニシアチブは、大変に素晴らしいです。人数に共通する平和や全てを交互する力を伝えた功績は大きいと思います。展示では、仏陀から現代まで、仏教がどのように拡大していったのかを明確にしています。非常に分かりやすく、全ての人に開かれています。フランスだけでなく、ヨーロッパ、そして全世界で開催をしていって頂きたいです。こういった催しを通して、見に来る人が仏教の思想と精神をより深く知って欲しいのです

 

○ルチラ・カンボージュ大使(ユネスコ・インド政府代表部)

ユネスコで、このように素晴らしいシンポジウムと展示が実現した意義は大きいです。ユネスコの各国大使にも話をし、一人でも多くの大使に見てもらいたいです。


展示会では、インドのスムリティ・ズビン・イラニ人的資源開発大臣やユネスコの各国大使なども観賞に訪れた。期間中の来場者は7300人を超え、盛況を博した。



◆企画・制作:東洋哲学研究所

◆主催:フランス創価文化協会

◆後援:中国・敦煌研究院、ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、インド文化国際アカデミー

◆協力:仏教学研究所

◆会場:国連・ユネスコ本部(フランス・パリ)

◆開催日:2016年4月2日~10日  

レンヌ展

パリ・ユネスコで開催された「仏教経典:世界の精神遺産」展の巡回展であるレンヌ展が10月21日、フランス西部のレンヌ仏教文化センターで開幕した。

 

 

同展は「法華経――平和と共生のメッセージ」展での成果を、さらに仏教全体に広げたもので、フランス・仏教学研究所の協力によってパネル制作なども行われた。会場となった共催団体のレンヌ仏教文化センターは「文化や宗教実践を通して、市民に仏教と触れ合う機会を提供し、西洋と東洋の交流を促進する」ことを目的に2011年に開設。仏教団体が宗教実践の活動、瞑想コースなどを実施している。

 

21日には、開幕を記念するシンポジウム「仏教によって伝えられた価値」が開催された。ここでは、パム・クアン・レ氏が「ベトナム仏教について」。仏教学研究所のドミニック・トロティニョン所長が「経典について」。東洋哲学研究所のベルトラン・ロシニョール海外研究員が「法華経について」の発表を行った。

 

同展は、会期中700人が来場し、日刊紙「ウエスト・フランス」で紹介されたほか、各界で反響を呼んだ。

 

 

◆企画・制作:東洋哲学研究所

◆主催:レンヌ仏教文化センター、東洋哲学研究所、フランス創価文化協会

◆後援:中国・敦煌研究院、ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、インド文化国際アカデミー

◆協力:仏教学研究所

◆会場:レンヌ仏教文化センター

◆開催日:2017年10月21日~29日

マルセイユ展

フランスで3都市目となる「仏教経典:世界の精神遺産」展が10月6日、マルセイユ市のドック・ヴィラージュで開幕した。

 

開催都市となったマルセイユは、フランス第2の都市で、同国最大の港湾都市。会場となったドック・ヴィラージュは、市内観光の中心地近くに商業・文化施設として新装された建物で、その基となるのは1863年に完成した同市の歴史的建造物である。

 

展示会は、東洋哲学研究所、フランス創価文化協会が主催し、敦煌研究院、ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、インド文化国際アカデミーが後援。仏教学研究所が協力している。展示では、法華経写本シリーズや法華経等の写本(複製)、鉄筆や白樺の樹皮などの文物30点を公開するとともに、敦煌莫高窟85窟の再現や、仏教伝播の歴史を豊富なパネルで紹介している。

 

開幕式は展示会場で行われ、130人が出席して開催された。創価文化協会のジャン=クロード・ゴベール会長の挨拶並びに来賓紹介に続き、マルセイユ・チベット仏教センターのアンリ・シゴ代表が「この展示は、仏教伝播の歴史を余すところなく伝えた素晴らしい内容です。また、各地域でどのように仏教が発展したか、特にアフガニスタンのガンダーラ地域での仏教発展が説明され、とても良くできた展示だと思います」と祝辞を述べた。続いて、仏教学研究所のドミニック・トロティニョン所長が挨拶に立ち、「この展示は、仏教を広く知らしめる教育的な展示であります。これまでフランスで仏教をテーマに開催されてきた展示会はありましたが、それは主に仏教美術の面を扱うものであり、いくつかの国やある時代のテーマにしたものに限られていました。しかし、この仏教経典展は仏教全般をその起源から詳細に説明する展示なのです」と語った。

 

開幕式に先立って行われた記念シンポジウムは、展示会場からほど近いエスパース・ラ・コックで開催され、「中国における仏教および法華経の伝播」(東洋哲学研究所 ベルトラン・ロシニョール海外研究員)、「敦煌莫高窟の図像」(ナタリー・リゴー氏)、「仏教経典の伝播――比類無き精神遺産」(仏教学研究所 ドミニック・トロティニョン所長)の テーマで発表が行われた。

 

マルセイユでの展示会には、会期中1600人を超える鑑賞者が訪れ、盛況を博した。

 

◆企画・制作:東洋哲学研究所

◆主催:東洋哲学研究所、フランス創価文化協会

◆後援:中国・敦煌研究院、ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、インド文化国際アカデミー

◆協力:仏教学研究所

◆会場:ドック・ヴィラージュ

◆開催日:2018年10月6日~15日

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