「法華経――平和と共生のメッセージ」展(韓国・大邱)

韓国・大邱(テグ)での「法華経――平和と共生のメッセージ」展の開幕式が6月11日、大邱広域市・大邱広域寿城文化会館で行われた。

 

大邱は同国南東部に位置し、人口約240万人を擁する。“第3の都市”と言われる主要都市であり、歴史・経済・文化の中心の一つである。大邱郊外には、高麗時代の1251年までに完成した『高麗大蔵経』を保管する世界遺産・海印寺大蔵経板殿がある。『高麗大蔵経』は、日本で刊行された『大正新脩大蔵経』の底本とされたもの。日韓両国において大邱地域は、仏教の交流史にあって重要な場所である。

 

韓国での「法華経――平和と共生のメッセージ」展は、首都・ソウル、釜山に続き3都市目であり、4年ぶりの開催となる。これまで同国の法華経展の累計鑑賞者数は18万4000人に上り、今回は待望の開催となった。法華経展全体においても大邱での展示は、コロナ禍で初であり、展示会の運営にあたっては、感染対策などを充分に行い完全予約制での実施となった。

 

大邱での法華経展は、東洋哲学研究所と中国・敦煌研究院、韓国・中央日報S、韓国SGIが共催。インド文化国際アカデミー、ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所の海外機関のほか、韓国国内から文化体育観光部、大邱広域市、連合ニュース東北センター、嶺南日報、韓国芸術文化団体総連合会、韓国記者協会、国際ペンクラブ韓国本部が後援となった。

 

展示数は約200点で、過去最大規模の出品数となった。ソウル及び釜山と同じく、韓国国内の博物館の特別協力により、国宝1点(白紙墨書妙法蓮華経。湖林博物館所蔵)と日本の重要文化財に相当する宝物2点(紺紙銀泥妙法蓮華経、妙法蓮華経巻5-7。国立中央博物館所蔵)の複製を展示。また、共催団体の敦煌研究院による資料・画像提供により、世界遺産である莫高窟から第85窟を再現。デジタル展示を駆使して、“目で見る法華経”“体験する法華経展”を目指した展示会となっている。

 

開幕式には、韓国災害救護協会の宋弼鎬会長をはじめ、李範憲・韓国芸術文化団体総連合会会長、金有祚・国際ペン韓国本部副理事長等の来賓、韓国SGIの代表メンバーなど160人が出席。式典の模様はライブ中継され、約3000人が視聴した。

 

式典では、来賓の挨拶の後、盛大にテープカットが行われた。韓国芸術文化団体総連合会の李範憲会長は「法華経は、人間に対する深い相互理解を通し、社会の調和を構築する経典であります。法華経の精神が韓国と世界に広がり、社会に肯定的な変化をもたらしてくれることを願っています」と祝辞を寄せた。

 

また、大邱での法華経展開催を記念する講演会が 9 月 28 日、同展の展示会場である大邱広域寿城文化会館で開催された。ここでは、東洋哲学研究所の蔦木栄一委嘱研究員が「池田 SGI 会長と法華経展」をテーマに発表。続いて、韓国・日本の考古学を研究領域とする慶北大学の朴天秀教授が「シルクロードと仏教」と題して講演した。

 

朴教授は、「シルクロードは人や物が往来する道でありました。文明の十字路と言われたアフガニスタンなどは、そこを通らないとアジアやヨーロッパへ行き来することはできませんでした。しかし今は紛争地帯になってしまい、行くことができなくなってしまいました。本来シルクロードこそ平和や共生の象徴であるはずです」と強調した。そして、シルクロードの平和の実現の為に、池田大作 SGI 会長の思想と平和と共生のメッセージが込められた法華経展を開催する意味があると述べた。

 

同展は会期中 9 万人が鑑賞に訪れ、各界の識者やマスコミなどでも、大きな反響を呼んだ。

 

 

◆主催:東洋哲学研究所、中国・敦煌研究院、中央日報S、韓国SGI

◆企画・制作:東洋哲学研究所

◆後援:文化体育観光部、大邱広域市、聯合ニュース北東アジア情報文化センター、嶺南日報、韓国芸術文化団体総連合会、韓国記者協会、国際ペンクラブ韓国本部

◆会場:韓国SGI・大邱広域寿城文化会館(大邱広域市)

◆開催日: 2022年6月11日~9月30日

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