「法華経――平和と共生のメッセージ」展(インドネシア)

インドネシア展

●インドネシア大学図書館での開幕式
●インドネシア創価学会本部での開幕式


●インドネシア大学図書館での開幕式

世界17カ国・地域目となる「法華経――平和と共生のメッセージ」展のインドネシア大学図書館展の開幕式が9月10日、インドネシアの首都ジャカルタに隣接する西ジャワ州デポック市で盛大に開催された。

同展は、東洋哲学研究所とともに、中国・敦煌研究院、インドネシア創価学会、インドネシア国立博物館、インドネシア教育・文化省、インドネシア青年・スポーツ省、インドネシア宗教省が主催した。また、インド文化国際アカデミー、ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所も引き続き後援。展示品は、インドネシア国立博物館、インドネシア大学図書館の所蔵品を含め、約110点が公開された。また、パネル枚数は65枚に及び、これまでの内容をより分かりやすく改訂した。

 

人口2億6000万人で世界第4位の人口を抱え、東南アジアの大国として発展を続けているインドネシアは、世界一の群島国家として、多くの島々に多様な民族が共生している。国民の約9割以上がムスリムであるが、憲法に謳われる「パンチャシラ(建国5原則)」によって信教の自由が保障され、イスラーム、カトリック、プロテスタント、ヒンドゥー、仏教、儒教の6つが公認宗教となっている。展示会実施にあたっては、こうした国情を主催団体が理解し、これまで以上に法華経の普遍性を伝えることが目指された。

 

開幕式には、主賓として、ワヒド元大統領のシンタ・ヌリヤ夫人、インドネシア大学のムハマッド・アニス学長、教育・文化省のスリ・ハルティニ文化総局官房長、青年・スポーツ省大臣代理のジョニー・マルディザル大臣専門職員らが列席。インドネシアの政財界、教育・学術界の代表をはじめ、インドネシア大学の学生、インドネシア創価学会、シンガポール創価学会、マレーシア創価学会のメンバーなど約400人が出席し、来賓の祝辞とテープカットが盛大に行われた。式典には、テレビ、新聞等が取材に訪れ、新聞やインターネットニュースで展示会の模様が紹介された。翌11日には、シンポジウム「平和と共生のメッセージ――平和のための文化的多様性を理解する」が開催された。これには、インドネシア世界記録博物館創立者のジャヤ・スプラナ氏、同大学のヌルハディ・マゲットサリ教授、東洋哲学研究所の蔦木栄一委嘱研究員(研究事業部副部長)が登壇し、発表を行った。

 

展示会は、図書館の正面エントランスに掲げられた展示会のメッセージボードから始まり、第1~第5までの5つのセクションごとに展示を行っている。そして、展示部屋の周囲には、蓮華の装飾が施された。展示物は、これまでの展示会と同様の文物を公開しているが、本展では、インドネシアの仏教流伝の歴史を紹介するコーナーを設置。インドネシア国立博物館製作によるインドネシアにおける仏教受容の歴史と世界遺産ボドブドゥールの解説パネルの展示を行った。インドネシア国立博物館からは、オリジナル3点の出品。仏教儀式や寺院に備えられていた鐘で、世界遺産ボドブドゥールなどから発見された文物である。インドネシア大学図書館からは、バリ文字で記された古ジャワ語による散文が記されたヤシの葉やボドブドゥール遺跡を紹介した冊子など5点を展示した。展示の出口では、来場者の記念撮影を行うフォトポイントとメッセージを貼るボードを制作。またシアターコーナーでは、サンド・アート「法華経の七譬」のアニメーション・ムービー、「法華経伝播の歴史」「鳩摩羅什の生涯」を鑑賞できる。インドネシア国営放送(TVRI)で特集番組として放映されたほか、メトロTV、「DAAI TV」、有力紙「コンパス」など、国内のメディアでも取り上げられた。同展は9月24日に閉幕し、期間中の鑑賞者数は8700人となった。訪れた来賓は、次のような声を寄せている。

 


<インドネシア第4代ワヒド大統領 シンタ・ヌリヤ 夫人>

この法華経展を見たあと、さらにいろいろな話を伺って、釈尊の誕生から仏教の伝播の歴史を具体的に知ることができました。ガイドの方が丁寧に説明してくださり、大変によく分かりました。彼女も歴史をよく理解し、暗記しているため、ほんの束の間であっても,展示会で伝えたいこと、法華経の教えについて理解することができました。法華経展は平和の達成に貢献できるといいと思います。ましてや現在のインドネシアの状況を見れば、平和について考えることは、とても意義のあることだと思います。法華経展を見ることによって、平和を築くための考えを巡らせることができ、インドネシアがより良くなっていくことを願っています。私は法華経展が、非常に価値がある展示会だと思います。


<ムハマッド・アニス 学長(インドネシア大学)>

本日、このように集い合えたこと、共に開幕式を行えたことを感謝申し上げます。そして、約2週間に渡って開催する展示会の主催者になれたことを、学長として心から感謝いたします。私は、学術とは社会福祉に資するものでなければならないと思っております。今回、東洋哲学研究所のおかげでこのような展示を行うことができることをうれしく思います。法華経展は、東洋哲学研究所が20年以上に渡って開催してきた展示会です。私は、この法華経展が、インドネシアの時勢にかなっていると感じます。そして、我が大学にとって、知識をさらに高める機会となるでしょう。


<スリ・ハルティニ 文化総局官房長(インドネシア教育・文化省)>

私は、この法華経展の開催を最大に賞賛したいと思います。この活動は、非常に時にあっており、人道的寛容について紹介するものであります。世界遺産は、その存在を通して相互的な対話が大事です。過去から学び、自分とは何なのかを問うことです。こうした点を考え、文化の多様性を深めていくのが必要なのです。インドネシアとアジアは繋がりを持ち続けていました。文化表現、建築物、そして宗教の面において各地域で交流をしてきたのです。その意味からも、国際的な展示会である法華経展は、大変には素晴らしいのです。全世界に伝播した法華経写本を網羅した展示会でありますが、法華経は仏教徒のものだけではありません。民族を超えた人類全員の遺産です。文物の展示を鑑賞し、お互いを尊敬し、尊重するという精神遺産として学んでいきたいと思います。

 

 

◆主催:東洋哲学研究所、敦煌研究院、インドネシア創価学会、インドネシア国立博物館、インドネシア教育・文化省、インドネシア青年・スポーツ省、インドネシア宗教省

◆企画・制作:東洋哲学研究所

◆後援:ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、インド文化国際アカデミー、インドネシア女性会議、ワヒド財団、プルノモ・ユスギアントロ・センター、ブタウィ文化協会

◆会場:インドネシア大学図書館(デポック)

◆開催日:2019年9月10日~24日


インドネシア創価学会本部での開幕式

インドネシアの2会場目となる「法華経――平和と共生のメッセージ」展が9月29日、首都ジャカルタのインドネシア創価学会本部で開幕した。同展では、インドネシア大学図書館での展示会での出品数を越える約140点が公開された。

 

開幕式には、宗教省のチャリアディ仏教徒指導総局長とトーフィックジャカルタ首都特別州事務所長、インドネシア仏教連盟のハルタティ・ムルダヤ議長、ジャカルタ首都特別州のスワント仏教徒指導局長をはじめ、 政府、仏教団体、教育機関の関係者やインドネシア創価学会のメンバーなど約200人が出席。来賓祝辞や、バリ舞踊などの演目、テープカットなどが行われた。式典の模様や展示内容は、インドネシア国営放送(TVRI)がニュースとして報道した。同展は10月27日まで開催され、約15500人が訪れた。インドネシアで行われた2会場の累計鑑賞者数は2万4000人となり、大反響で閉幕した。展示会に訪れた来賓からは、次のような声が寄せられている。

 


<チャリアディ 仏教徒指導総局長(インドネシア宗教省)>

私たちは、インドネシア政府仏教徒指導総局の名のもとに、この法華経展を開催したことに対して、実行委員会の皆さまに心より感謝を申し上げます。この行事は、とても素晴らしい構想であります。法華経展を通して、ブッダの法を永続させるために、インドネシアの仏教の伝統と文化が存続するように、このような行事を継続しなければなりません。蓮の花は美を表現し、かつ清廉を意味しています。蓮の花は、自身の中の美の意味と価値を有する美しい冠をつけ、その花の色は美しい。蓮は愛と人生を象徴しており、平和と共生をもたらします。仏教の芸術作品においては、大きく開いた蓮の花は悟りを表します。この法華経展が、一般社会に、特に仏教徒の方々に、より広い情報を与え、ブッダの教えが普遍的だということを思い出させて欲しいと願っています。そして、そのことが、社会、民族、国家において、日々の生活で実践されますように。そのために、この法華経展を通じて、国民の団結と統一の精神、さらに国民の道徳を向上させ、この国が道徳的で、平和で、公平で、繁栄し、幸福であるように。宗教省は、宗教的社会団体と協力して、気高く中庸の精神のある宗教共同体を誕生させるように、努力し続けてまいります。そして常に平和と調和、互いの愛情に満ちた状態にあるように、インドネシア民族の団結と統一を守ります。この挨拶を通して、私は、インドネシア共和国の統一と、平和で調和を維持するために、常に宗教と宗教の間の一体性を確立することを勧めていきたいと思います。

 

 

◆主催:東洋哲学研究所、敦煌研究院、インドネシア創価学会、インドネシア国立博物館、インドネシア教育・文化省、インドネシア青年・スポーツ省、インドネシア宗教省

◆企画・制作:東洋哲学研究所

◆後援:ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所、インド文化国際アカデミー、インドネシア女性会議、ワヒド財団、プルノモ・ユスギアントロ・センター、ブタウィ文化協会

◆会場:インドネシア創価学会本部(ジャカルタ)

◆開催日:2019年9月29日~10月27日

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