「法華経――平和と共生のメッセージ」展(マレーシア)

マレーシア展


●概要
●新聞報道から
●来賓の声
●記念講演・要旨
展示会の模様


概要

マレーシアで初の「法華経――平和と共生のメッセージ」展が、首都クアラルンプールのマレーシア総合文化センター(写真)で開催され、開幕式が2月16日、同センターで行われた。これには、マレーシア首相府大臣代理の胡克華(ホー・ケホア)国家統一・統合局次長をはじめ、各界から470人の来賓が出席した。また、インド文化国際アカデミーのロケッシュ・チャンドラ理事長が記念講演を行った。同展の開催は日本を含めて11カ国・地域目であり、イスラーム文化圏では初の開催となる。

◆主催:東洋哲学研究所、マレーシア創価学会

◆会場:マレーシア総合文化センター(クアラルンプール

◆開催日:2014年2月15日~5月18日


  

右から4人目がロケッシュ・チャンドラ博士、同5人目が胡国家統一・統合局次長



「法華経写本シリーズ」の主な写本所蔵機関は洋の東西に広がる。説明を熱心に読む参加者

 


新聞報道から

  (聖教新聞2014年2月20日付)

2500年におよぶ仏教の歴史や、法華経流伝の軌跡を紹介する〝法華経展〟に、来場者は驚きと称賛の声を上げた。場内には、多民族国家を象徴するように、マレー語だけでなく、英語、中国語が飛び交っている。
 「イスラム文化圏で初めてとなる〝法華経展〟の開催は、私たちマレーシア国民にとって大きな誇りです。それは、生命の尊厳という普遍的価値と人類の遺産というべき至宝を、目の前で見ることができるからです。何よりも、調和と共生の思想を伝える展示会を、イスラムやキリスト教の多くの人々に見てほしい」
 ジョセフ・クルップ首相府大臣が展覧会に寄せたメッセージが、マレーシアで〝法華経展〟を開催する意義を代弁していた。“法華経展〟は、これまで、インド、ネパールをはじめ、イギリス、ブラジルなどで開かれてきた。海外10カ国・地域目となったマレーシアでの開催は、〝法華経展〟を企画する東洋哲学研究所と同国の名門・マラヤ大学の文明間対話センターとの共同シンポジウム(2012年10月)の席上でも話し合われたものである。
 
 古来、交通の要衝であるマラッカ海峡に面するマレーシア。人と人、文明と文明が出あう天地であり、多様な民族や文化、宗教が共生する国として知られる。また、イスラムが国教で、ムスリム(イスラム教徒)は人口の6割を超える。
 「誰人も納得のできる『文明間の対話』『宗教間の対話』をやっていこう。法華経は一切を生かすからこそ王者なのだ」――東洋哲学研究所の創立者・池田SGI(創価学会インタナショナル)会長の指針のもと、東哲とマレーシア創価学会が準備を進め、イスラム文化圏初の〝法華経展〟が実現した。

   ケダ州の博物館が特別出品 

仏教芸術や写本資料をはじめ、同国ケダ州のレンバ・ブジャン考古学博物館からの特別出品を加えた約150点が公開されている。
 会場は、首都クアラルンプールの中心街に立つ、マレーシア創価学会のマレーシア総合文化センター(12階建て)。4つのフロアを展示スペースに使用。解説パネルは、英語と中国語の2言語で表記されている。
 
 開幕式には、マレーシアを代表する各界の識者ら470人が足を運んだ。マレーシア創価学会の許錫輝(コー・シャフェ)理事長が主催者を代表して、あいさつ。首相府大臣代理の胡克華国家統一・統合局次長が来賓を代表して祝辞を述べた。インド文化国際アカデミーのロケッシュ・チャンドラ博士は「普遍的価値と法華経」をテーマに記念講演(別掲)を行った。なお、有力中国語紙の「星洲日報」「南洋商報」、英語紙の「ニュー・ストレーツ・タイムズ」などの各紙が、〝法華経展〟の模様を連日のように報道している。

 
 敦煌莫高窟に描かれた供養者も紹介(右)。多様な民族への信仰の広がりがわかる


来賓の声 

マラヤ大学 アワン副総長補
 文明間と宗教間の対話を促進する重要な展示会です。
 イスラムと仏教を結ぶ対話を実現するために、マラヤ大学の文明間対話センターが東洋哲学研究所、マレーシア創価学会と協力でき、うれしく思います。
 特に数多くの写本の存在に感銘を受けました。これらを収集し、編集した努力はどれほどだったでしょう。
 〝法華経展〟が表現するものは、異なる宗教の人々が理解し合うための大変に優れた哲学であると思います。 

マラヤ大学 人文学研究クラスタ ライハナ副院長
 〝法華経展〟は、若い世代の人たちに、平和と共生という最上の価値を教えています。そして、皆の目を開く素晴らしい内容です。
 法華経が多くの国に伝えられた事実は、非常に興味深いことです。なかでも、アラビア文字に似た文字の写本を見て、文明間の対話があったのではないかと思うのです。
 今、最も大切なのは、イスラムと仏教の対話です。二つの宗教の英知の交流を行う時が、まさに到来していると強く感じました。 


マレーシア国民大学 ニックハサン名誉教授
 
 これほどの文物が一堂に会して、〝法華経展〟が開催されたことは驚きです。
 その規模を見ると、展示の実現までの道のりは、決して容易ではなかったに違いないと思うのです。
 特に、ケダ州のレンバ・ブジャン考古学博物館から作品が出展された意義は大きいと思います。
 マレーシアはイスラム国ですが、多様な民族や宗教も存在する社会です。だからこそ、共生と寛容は最も必要なものです。
 展示を通して、マレーシアに、法華経が教える精神を広げていきたいと思います


ニューエラ大学 マレーシア地域研究所 文平強所長
 広々とした空間のなかで展示を観賞し、法華経が、どのようにアジア地域に伝わっていったのかを、深く知ることができました。仏教に詳しくない人でも、学びの機会となるでしょう。
 この素晴らしい展示は、マレーシア創価学会と東洋哲学研究所の努力のたまものです。
 法華経の精神は、現代社会にとって必要な価値を教えています。開催を契機として、平和と共生への道筋を照らし、人々を導いていくに違いありません。  


 マレーシア仏教青年総会 呉青松会長 
 〝法華経展〟の解説や展示品のレベルは、専門的で非常に高い水準だと思います。
 しかも、それは誰にでも理解できるように紹介されています。法華経の調和や慈悲などのエッセンスを、全ての人が把握することができると思います。
 たとえ異なる宗教でも、見る人に大きな感銘を与える展示ではないでしょうか。
 マレーシア創価学会の〝法華経展〟という大切な試みの実現は、多くの人を結びつけてくれました。そして、青年たちが企画や運営などに携わっている姿に感動しました。


モンテビデオ大学 マルケス教授
 

 この展示会は、私にとって新しい世界の扉を開いてくれた魅力的で並外れたものです。
〝ペトロフスキー写本〟や歴史的な価値を持つ美しい仏教芸術品が紹介されており、驚きの連続でした。
 私はカトリックですが、仏教について詳しく知ることができ、キリスト教と仏教が共有する普遍的価値を確認できました。
 そして、平和と非暴力の世界の実現を目指していくために、必要な機会になりました。
 本展の開催に、心から感謝しています。


 記念講演「普遍的価値と法華経」(要旨)

 (インド文化国際アカデミーのロケッシュ・チャンドラ理事長)

法華経は、一仏乗の最高の聖典です。一切衆生が菩提を得ることができる、つまり成仏できると説いた仏の究極の教えなのです。
 三乗(声聞乗・縁覚乗・菩薩乗)の川の流れは、一仏乗の大海に導くものでした。この概念は、法華経において、三車火宅の譬えとして描かれています。
 法華経に表される蓮は、宇宙であります。また、蓮は、原始仏教経典である「サンユッタ・ニカーヤ」において、清浄の譬喩として用いられてきました。宇宙の価値を包含した普遍性を宣言し、人々の清らかな心を呼び起こす。蓮華の法(ロータス・スートラ)と呼ばれる法華経には、そのような意味が込められています。
 日蓮大聖人は、法華経への帰命を選択することで、この蓮華に秘められた無限の智慧から、新たな精神的エネルギーを引き起こされました。そして、そのエネルギーを引き出すための理論的な根拠を示されつつ、私たちが周囲の人々や自然への思いやりを持って、平穏で熱意のある生活を送ることを呼び掛け続けられたのです。
 法華経は、全民衆に開かれた経典であり、全民衆の真の幸福と平和のために説かれた経典です。そして、法華経の智慧は、私たち衆生を無比の幸福へと導くものです。法華経を創造的に漢訳した鳩摩羅什も、法華経は、大いに衆生を益し、平和と幸福を衆生にもたらすためにあると述べています。
 また、法華経は、一切衆生が生命の無限の可能性を持っていることを教えています。一切衆生を、いかなる階層にも分け隔てることなく、差別することなく、平等に益するのです。多様性を認め、一人一人を宝とします。
 そして、大聖人は、その一人一人の可能性を開拓させゆく力が法華経にあることを弘めました。
 だからこそ大聖人の仏法に触れる時、人生の春風、真っ青な空、陽光と同じように、人生の嵐や猛吹雪、容赦ない厳しい強風をも楽しむことができるのです。
 この大聖人の仏法を実践してきたのは、創価学会です。池田先生は「学会は、具体的な『一人』から離れず、その『一人』を絶対に幸福にするために戦ってきた。これは人類史に燦然と残る崇高な歴史です」と明白に語られています。
 マレーシア創価学会は、宿命を使命に転換する衣をまとった宝であります。マレーシア創価学会の皆さんは、他者を救うことに喜びを感じながら、妙法への理解を深め続けていっていただきたい。皆さんの求道と他者を救う行動こそが、人生の最高の道であります。
 マレーシア創価学会の皆さまの慈愛を世界に広げる実直な努力は、最高の評価を受けるに値します。その歩みは、世紀に漂う詩歌なのです。                                             

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