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『池田大作 世界との対話――平和と共生の道を開く』

東洋哲学研究所編 第三文明社刊

『世界市民 池田大作――識者が語る 平和行動と哲学』

東洋哲学研究所の創立者・池田SGI(創価学会インタナショナル)会長と、世界の識者との語らいを集大成して紹介した一書です。50冊以上の対談集をはじめとする膨大な対話の内容を「平和」「環境」「人間主義」「地球文明」「創造的人生」の5つの観点から考察しています。 また巻末には、対談集の一覧と海外の主な会見者の一覧を収録しています。

 

2010年11月発刊

オールカラー 320ページ

1,429円(税込1,543円)

ISBN 978-4-476-06212-0


目次

「対話こそ わが人生」……池田大作

まえがき 

 世界に広がるトインビー対談

第1章 恒久平和の探求――核のない世界へ

第2章 「環境の世紀」を目指して

第3章 人間主義の社会へ――人権・政治・経済

第4章 地球文明への道――文明・哲学・宗教・歴史

第5章 創造的人生のために――文化・芸術・文学・教育・科学

論考 対話が開く世界

〈巻末資料〉 

世界の識者との対談集一覧

池田SGI会長が会見した海外の主な人物一覧


対話こそ わが人生

(池田SGI会長執筆「随筆 人間世紀の光192」より)

 

「精神を鍛練する もっとも有効で自然な方法は、私の考えでは、話し合うことであると思う」
 私が若き日に愛読した、フランスの思想家モンテーニュは、対話の意義をこう強調した。さらに続けて、「話し合うということは人生の他のどの行為よりも楽しいものだと思う」と。
 その通りだ。語らいには、常に新鮮な発見がある。
 「さあ、対話をしましょう!」
 あの大歴史学者トインビー博士と私の対談も、一緒に名曲を奏でゆくような弾む心で始まった。
 2年越し40時間に及ぶ語らいは、人類と世界、歴史と未来、そして宇宙と生命を論じ合いながら、魂の共鳴を深めていった。
 「若いあなたは――」
 対談の最終日、84歳の博士は、45歳の私の手を握って言われた。「このような対話を、さらに広げていってください!」
 遺言の響きをもった一言であった。博士から託された対話の調べは、今、世紀を超えて、壮大な交響楽となり、世界に広がった。(中略)


 対話は、自説に固執した自己主張のぶつけ合いではない。単なる言葉の往復でもない。対話を通して、互いの語る言葉の「意味」を共有し、理解し合うことである。そして、新たな価値を創造しゆく作業なのだ。
 対話がなくなれば澱む。活発な対話のあるところ、新しい命が流れ通うのだ。
 恩師・戸田先生は展望されていた。
 「これからは『対話の時代』になる。人と語るということは、信念のために戦うことである。また、心を結び合うということだ」
 さらに先生は語られた。
 「世界宗教の創始者たちが一堂に会したならば、大きな慈愛の心で語り合い、尊重し合うであろう。そして人類の恒久の幸福に向かって、戦争や暴力・紛争を断じて食い止めようと、手を携えて立ち上がっていくに違いない」
 これは、牧口先生も、戦時中に述べられていた信念であった。

 私は、牧口・戸田両先生の弟子として、全世界の指導者・識者と対話を重ねてきた。その数は、7千人を超えるようだ。(中略)
 世界は広い。人類は多彩である。語り合うことは、学び合うことである。知り合うことである。そして、尊敬し合うことである。
 対話は、人類を友とし、世界を味方にすることだ。(中略) 

「言論を嫌うよりもより大きな災いを人が蒙ることはありえない」
 これは、対話の名手ソクラテスの発言であった。
 「対話」こそ、生命の尊厳を脅かす、あらゆる「暴力」と対峙する砦である。(中略)
 昨年(2008年)、私は、韓国を代表する総合誌『月刊朝鮮』からインタビューを受けた。その中で、「対話を上手に行うにはどうすればよいか」という質問があった。
 私は、お答えした。
 ――いかなる立場や信条の人であっても、「生老病死」という、人生の苦悩を避けることはできません。
 この根本問題に無縁の人は一人もいない。それを共有する人間同士として語り合う。そうすれば、どんな人とも話は通じます、と。
 私たちには、生命の真髄を解明した仏法がある。そして、現実の社会に積極果敢に関わっていく「立正安国」の理念と行動がある。
 ゆえに誰人に相(あい)対しても萎縮することはない。毅然と闊達に、よりよき人生と社会を開く対話を繰り広げていくことができるのだ。(中略)

 

 35年前(1974年)、私が初めてモスクワを訪れた時のことだ。
 ソ連共産党・国際部の幹部だったコワレンコ氏が、当時、話が進んでいた日中平和友好条約について、厳しい口調で批判を始めた。深刻な中ソ対立の時代である。
 「そうは言っても池田会長!」と、コワレンコ氏が声を荒げて机を叩いた。
 「ソ連は日本を壊滅させる力がある。何なら、もう一回戦争しましょうか」
 氏は対日関係のキーパーソンである。日本人相手に、いわゆる恫喝外交の強面(こわもて)としても恐れられていた。
 目を光らせ、ドンドンと激しく机を叩く氏――だが私は笑顔で、「手は痛くありませんか?」と返した。
 氏は、拍子抜けしたような表情を浮かべた。
 こうした応酬を経て、互いに本音で語り合える仲になった。そこから本当の人間外交が始まったのだ。(中略)
 先般、私と対談集を発刊したブラジルの大天文学者モウラン博士は、父君の教えを大切にされていた。
 「人間の考えは、たとえ今がどうあれ、それが最後まで変わらないということはない。偏見は必ず、時とともに変えることができる」と。
 博士は、その偏見を変えていく方途こそ、「対話の道」であると結論された。
 そして、「世界に展開される創価の『対話』は、決して音を立てて大げさにする対話ではなく、静かなる対話の流れ、川の流れのような、弛(たゆ)みなき対話の流れであると思います」と語ってくださっている。(中略)

対話こそ、わが人生――この対話の道が、麗しき人間共和の大道へと開かれゆくと信じて!

(『聖教新聞』2009年6月28日付)

 

まえがき

東洋哲学研究所所長 川田洋一

 

トインビー博士が、池田SGI会長との対談を強く希望した背景には、博士が東洋の世界宗教である仏教に深い関心を寄せはじめていたことがあります。

 池田会長は、博士の要望に応じてロンドンの自宅を訪れ、1972年5月と73年5月の2年越し、延べ10日間40時間に及ぶ対話を行っています。

 さらに、往復書簡による対論を含めて、75年春、日本語版『二十一世紀への対話』が完成し、博士に届けられています。翌年には英語版『Choose Life』が出版されています。

 その後、この対談集は次々と各言語に翻訳され、現在までに28言語で出版されています。

 各言語に訳されたトインビー対談は、世界中の指導者や識者の強い関心と高い評価・賞讃を呼びおこしていきました。さらに、対談集は世界の大学や高校で教材として使われるに至っています。

 この対談集が世界の多くの分野の知性に深い感銘と思索の糸口を与え、孫立川氏(中国作家協会会員)が “人類の教科書”と呼ぶのは、なぜなのでしょうか。

 トインビー博士と池田会長は、「共同の序文」を載せており、その趣旨を要約すると、次の5点にわたると考えられます。

第1に、「人類の直面する基本的な諸問題」をことごとく論じあっていることです。その領域は、平和・環境・人権・科学・倫理といった喫緊の課題から、その底流に流れる人類史の永遠の課題――生と死、人間とは何か、生命とは何か――にまで及んでいます。

 第2に、トインビー博士は、キリスト教の文化に生まれた西欧人であり、一方、池田会長は、仏教文化を代表する東洋人です。

 したがってこの2人の対談は、「東洋文明と西洋文明」の対話、その中核をなす「宗教間対話」の先駆をなしているのです。

 第3に、それぞれの基盤とする文化・文明が違うにもかかわらず、ほとんどの領域において「共通項」を見いだしていることです。相違点はわずかであり、しかも相互に学びあうべき知見を披露しています。

第4に、両著者は、これほどの“共通項”の多さの根拠を分析しています。2人の対談者は、それぞれ自らの文明のみならず、世界の他の文明にも深い見識を持っていたゆえに、相互の啓発の中から人類のための「共通項」を見いだすことができたのです。

第5に、最も重要なことですが、2人の対談者は、哲学論・宗教論を通して「人間本性中の意識下の心理層にまで分け入り、そこにいつの時代、いかなる場所においてもあらゆる人間に共通する、人間本性の諸要素というべきものにまで到達していることが考えられよう」と分析しています。そして、「人間本性の諸要素といえども、やはり森羅万象の根源をなす究極の存在基盤から発生した存在だからである」と結論づけています。ここに「究極の存在」とは、トインビー博士の言葉で言えば「宇宙の背後にある精神的実在」であり、池田会長は「宇宙根源の法(ダルマ)」とも「宇宙生命」とも表現しています。

このように、トインビー博士と池田会長との対話は、今日と未来、人類が直面するであろうすべての分野の課題を取りあげ、しかも、宇宙と生命の究極――宇宙生命・法(ダルマ)、精神的実在――に基盤をおく「人間論」からの「対話」であり、深遠な「智慧」と人類への「慈愛」と未来を開きゆく挑戦の「勇気」が脈動しています。

それゆえに博士は対談終了後、池田会長にローマクラブ創立者のアウレリオ・ペッチェイ博士や微生物学者ルネ・デュボス博士等の世界的な学術者の名前を紹介するとともに「あなたが、世界に対話の旋風を巻き起こしていくことを、私は強く念願しています」との期待を託したのです。

池田会長は、「随筆 人間世紀の光」の中で次のように記しています。

「ある日ある時、戸田城聖先生は、私に言われた。「『一切の法は皆是(こ)れ仏法である。ゆえに、世界のいかなる大学者、大指導者とも、いかなる問題であれ、自由自在に論じられる力を鍛えておくからな』。一対一の個人教授『戸田大学』の一コマである」(『聖教新聞』2009年4月8日付)。

戸田大学の薫陶は、仏法はもとより経済、法学、化学、天文、歴史、漢文、政治学にまで及んだといわれています。

池田会長は、トインビー博士の要望をも受け入れながら、師匠戸田先生が「地球民族主義」として示した、人類の「永遠の平和」へのビジョン実現のために「対話の旋風」を全世界に向けて巻き起こしていったのです。

そして、国家、民族、イデオロギー、文化の壁を超えて、世界の指導者・識者との本格的な対話を通し、人間と人間の心を結び、世界を結んでいったのです。

対話の分野は、平和論、環境論、文明論、文化論、教育論、哲学、生死論、宇宙論から国際政治、経済、科学技術の諸分野に及んでいます。また、仏法者としてキリスト教、ユダヤ教、イスラーム、ヒンズー教、儒教、道教などの諸文明との対話――「宗教間対話」を繰り広げているのです。対話の数は7千人を超え、その中ですでに50を超える対談集が編纂されています。

 

当研究所は、これまで名誉学術称号を収録した『世界が見た池田大作』、国家勲章、名誉市民称号、世界的教育・学術・文化機関からの顕彰を収録した『世界市民 池田大作』を編纂してきました。

 これに続く本書の作成にあたり、膨大な池田会長の対話・対談集の内容をどのように解析し、統合すればよいのかについて熟考しました。

 そして、池田会長がトインビー対談に臨むにあたっての「3つの柱」

(1)「人間とは何か」――人生と社会

(2)「世界平和の実現」――平和論

(3)「生命とは何か」――哲学・宗教

をベースにして現代の世界情勢との関連性を考慮して、対話の内容を次の5項目に分類しました。

(1)恒久平和の探求――核のない世界へ

(2)「環境の世紀」を目指して

(3)人間主義の社会へ――人権・政治・経済

(4)地球文明への道――文明・哲学・宗教・歴史

(5)創造的人生のために――文化・芸術・文学・教育・科学

 

 偉大なる人格と人格の邂逅の中で、専門分野からの「知見」と「仏法人間主義」との相互啓発から創り出される“英知”――そのような“普遍的智慧”こそ、「共生」と「平和の文化」を導く“光源”となるのではないでしょうか。

 私たちは、本書で光り輝く“智慧”の発言を、5項目にわたる枠組みのもとに、学術的に考察し、「対話の文明」への羅針盤となることを意図しています。

 「博士が対話を通じて織り成す壮大な構想には、すべての大陸と地域が含まれています。個々人における革命は、おそらく人類の新たな夜明けを予告するものであり、第三の千年紀を、もっともすばらしい智慧という虹によって輝かせるでしょう。したがって、池田博士の対話は、新たな世界にとってのカギであると同時に、新たな方向性を探求する人々を導く“灯台”なのです」〈マハトマ・ガンジー非暴力開発センター所長 N・ラダクリシュナン博士〉

 

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