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新たな生死観を求めて(上)――大乗仏教の挑戦4

東洋哲学研究所編

2009年11月発行

※在庫切れ


主な内容

仏教の生命観
――現代文明への応答のために
川田洋一
生命倫理問題への仏教理念の導入 木暮信一
「脳死・臓器移植」問題を考える 木暮信一
「安楽死・尊厳死」問題を考える 森田修平
子どもの生死観
――子どもは未来の生と死をどのように見通しているのか
戸田有一
末期患者に対するケアのあり方 稲光礼子・小島明子

 

 東洋哲学研究所の川田洋一所長は、同書に寄せた「序」のなかで、掲載された論文を次のように紹介しています。

 

私の「仏教の生命観―現代文明への応答のために」は、現代医学の提起する「生」と「死」に関わる問題を考える接点として、大乗仏教における唯識学派の「八識論」を取り上げ、生と死を貫く生命主体に言及する。さらに、天台宗などが立てる第九識、それを踏まえて日蓮が「九識論」を展開することを紹介し、日蓮仏教の生死観に論及する。日蓮は第九識すなわち宇宙根源の生命、法を妙法蓮華経と名づけ、それに南無(帰命)することで、第九識、すなわち宇宙根源の生命、仏界を顕現できるとする。そして死後の世界として語られることの多い「霊山浄土」や「地獄」というものも人の心のなかの世界であるとする。論文では、自他ともの幸福のために生き抜くことによって、日蓮仏教の説く「生も歓喜、死も歓喜」という生死観を体現することができることを論じている。

 

木暮信一氏の「生命倫理問題への仏教理念の導入」は、おもに臓器移植をめぐる脳死問題を取り上げている。安楽死、尊厳死、ターミナル・ケアといった、今日的な死をめぐる諸問題を取り上げ、仏教が説く「生死不二」の理念、「慈悲」の思想が医療現場で展開されることを期待している。

 

同じく木暮信一氏の「『脳死・臓器移植』問題を考える」は、脳死判定の基準を具体的に検討し、脳死が社会的に受け入れられることの必要性を論じている。また、1997年に施行された臓器移植法について考察し、本年7月に成立した改正案についても紹介している。

 

森田修平氏の「『安楽死・尊厳死』の問題を考える」は、海外・国内での安楽死、尊厳死の具体例を紹介しつつ、その問題点を指摘するとともに、新たな生死観確立の重要性を説いている。

 

第5章の戸田有一氏の「子どもの生死観―子どもは未来の生と死をどのように見通しているのか」は、子どもの生死観といじめや自殺との関連性について検討している。また、幼児、児童を対象に、死についてのイメージを問うような研究は慎重であるべきとしつつ、「生老病」までを対象とした、時間的な展望の研究を提案している。

 

 稲光礼子氏・小島明子氏の「末期患者に対するケアのあり方」は、看護師の立場から、末期患者を実際にケアした体験にもとづいて、多くの実例を紹介しつつ、ターミナル・ケアのあるべき姿について問いかけている。

 

第7章は6人の方がたの体験手記である。身近な家族が癌患者となり、その闘病、ターミナル・ケア、看取りにいたる経過が語られている。末期患者の生き方、そしてそれをとりまく人々が近親者の死をいかに乗り越えたかが語られており、それぞれ貴重な証言となっている。

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