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創価学会「法華経写本シリーズ」12 概要

『インド国立公文書館所蔵 ギルギット法華経写本―写真版』

 

 

「法華経写本シリーズ」第3期の冒頭を飾る発刊であり、シリーズ通巻14点目となる。

 

ギルギットはカシミール地方の都市。中国のカシュガルからクンジュラブ峠(海抜4693m)を越えてインドに至るシルクロードの要衝であり、古来、東西交易で栄えた。

1931年、ギルギットの近郊ナウプルの遺跡から発見された写本群は、大部分が腐敗や変質に強い白樺の樹皮に書かれており、当地の寒冷な気候も手伝って、現代まで保存された(推定6~7世紀ごろの書写)。なお、一部の写本には紙に書かれているものもある。たとえば法華経写本の場合、グループCの48葉は、写本用に加工された横長の紙の両面に書写されている。この紙はごく初期のものと推定され、紙の歴史をたどる上でも貴重な資料といえる。

 

写本群の中の法華経写本は、まとまった梵文法華経写本としては最古の部類に入る。また2つの法華経梵文写本には、写本の奉納者の実名が記された「奥書」が残されており、法華経信仰の状況を知る上で、きわめて貴重である。

ギルギット法華経写本の大部分はインド国立公文書館に所蔵され、一部はインド国外にある。1974年には、ラグ・ヴィラ博士とロケッシュ・チャンドラ博士の父子によって、インド国立公文書館所蔵のほとんどの写本の写真版が「シャタピタカ・シリーズ」のひとつとして出版された。1982年には、ドイツのオスカル・フォン・ヒニューバー博士(フライブルク大学名誉教授)が、スリナガルで発見した断簡を『新・ギルギット法華経梵本』(A New Fragmentary Gilgit Manuscript of the Saddharmapuṇḍarīkasūtra)として発表した。

 

 

 今回の出版は、インド国立公文書館、ロケッシュ・チャンドラ博士、ヒニューバー博士らの全面的な協力を得て、同公文書館に所蔵されている法華経写本(A、B、C)を鮮明なカラー写真版として複製したものである。

この発刊により、「ネパール系写本」「ギルギット系写本」「中央アジア系写本」という法華経写本の主要3系統の代表的写本を、「法華経写本シリーズ」に網羅することができた。

 

発刊に際して、ヒニューバー博士の論考「ギルギットの梵文法華経―写本と信奉者たちと工匠たち」を収録しているが、そのなかで博士は次のように述べている。

「ギルギット法華経写本に関する上記の考察は、この経典が6世紀後半から8世紀初頭にかけて、パローラ・シャーヒ(PalolaṢāhi)王朝治世下のギルギットの仏教文化の中にしっかりと根付いていたことを示している。経典の伝承は、法華経の写本を書写する営みによって洗練されていった。奥書の内容から得られる結論として、これらの写本は礼拝時に用いられたと言える」

「結論して言えば、ギルギットの経蔵から回収された法華経写本は、最初の、完全ではないにしても、梵文法華経の大部分を伝承したテキストであるという意義を有するだけではない。仏教と古代ギルギットの仏教文化が流布した多くの地域において、法華経の存在を感じさせるということでもある。このことは、古代インドの写本から見出された他のいかなる事実よりも、法華経の直接的な影響について物語っている」 


ニューデリーで出版記念式典

 日時:2012年5月3日

会場:ニューデリー・インド国際センター

 

 

 『インド国立公文書館所蔵 ギルギット法華経写本――写真版』の出版発表会が2012年5月3日、ニューデリーのインド国際センターで開催された。これには、インド文化省のサンギータ・ガイロラ次官、インド国立公文書館のムシルル・ハサン館長、インド文化国際アカデミー理事長のロケッシュ・チャンドラ博士、インディラ・ガンジー国立芸術センター初代会長のカピラ・ヴァツヤヤン博士ならびにガレ・カーン会長はじめ約200人の来賓が出席した。      

ジャミア・ミリア・イスラミア大学のマヒィディ元副総長が

「これは法華経を未来に伝える重要な出版です」とあいさつ

 

  ◇             ◇               ◇ 

(「聖教新聞」2012年5月18日付から)

 

 

発表会の席上、インド国立公文書館のハサン館長は熱弁した。

発刊は、歴史的な事業です。仏教学だけでなく、サンスクリット語の変遷、中国、韓国・朝鮮、日本、チベットの宗教・哲学に関する文献研究に影響を与えるでしょう」と。

ギルギット写本群は、白樺の樹皮に6~7世紀ごろ書写されたと推定。この中の法華経は、まとまったサンスクリット法華経写本としては、最古の部類に入る。

主賓のガイロラ文化省次官は「人類の遺産が、創価学会が進める『法華経写本シリーズ』として刊行されたことを、誇りに思います」と祝辞を述べた。

続いてロケッシュ・チャンドラ博士があいさつに立った。

博士は2010年、東洋哲学研究所創立者の池田SGI(創価学会インタナショナル)会長に出版を提案。インド国立公文書館、ドイツ・フライブルク大学名誉教授のオスカル・フォン・ヒニューバー博士と共に、全面的に協力してきた。

博士はこうした経緯に触れ「法華経には生命は宝であり、最上の価値であると説かれています」と強調。「その法華経の真髄は、池田会長が語る“いかなる苦難にも屈しない心”にあるのです」と語った。 

 

 

写真版を熟視する参加者(中央がガレ・カーン会長)

 

発表会は、政府の広報サイトが紹介。国営テレビ、タイムズ・オブ・インディア紙等が報道するなど、大きな反響を呼んでいる。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(インド政府の広報サイトPress Information Bureau, Government of India から)

 

Facsimile Edition of the Gilgit Lotus Sutra Manuscripts Released

 

 

Secretary, Ministry of Culture Smt. Sangita Gairola has released the Facsimile Edition of the Gilgit Lotus Sutra Manuscripts here today. The Gilgit Manuscripts are among the most ancient in the world going back to the 6th century A.D. They are perhaps the only corpus of Buddhist Manuscripts discovered in India. These manuscripts on Bhoj bark were discovered by cattle grazers in 1931 and were sent to Srinagar where they were studied by Sir Auriel Stein who announced their discovery.

The Lotus Sutra is one of the most important and influential of the sutras or scriptures of Mahayana Buddhism and is revered by almost all branches of the Mahayana teaching. It represents an unlimited philosophy of happiness, a philosophy of happiness and peace, a sacred text eternal in nature and unending in the creation of value.

In the wake of an urgent need to expand the horizons of access to historical documents, the Facsimile Edition of the Gilgit Lotus Sutra Manuscripts has been brought out by the National Archives of India in collaboration with the Institute of Oriental Philosophy and Soka Gakkai. 

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