ホーム法華経写本概要大英図書館写本

創価学会「法華経写本シリーズ」9 概要

『大英図書館所蔵 梵文法華経写本(Or.2204) ―写真版』

 

この貝葉写本は、以前は大英博物館に所蔵されていたものであるが、現在は大英図書館の所蔵となっている。カタログ番号Or. 2204、175葉ある。第28葉が欠けているが、単に番号を「28」とすべきところを一つ飛ばして「29」としてしまったものである。この部分におけるテキストの欠落はない。

書写された時期は不明であるが、11~13世紀のものであると推定される。この写本は1908~1912年にサンクトペテルブルクで出版された、いわゆる「ケルン・南條本」の校合に使用され、略号Bで脚注に引用されている。しかし、第125葉裏面の最後から第126葉表面の最初にかけて、「ケルン・南條本」の319ページ6行目から350ページ3行目に相当する部分が欠落したまま書写されている。書写生が書き落としたものであろうか、理由は不明である。戸田宏文博士(1936~2003)によれば、いくつかのグループに分けることのできる貝葉写本群の一つのグループ(B系と呼ばれる)を代表する写本である。

 

戸田博士が生涯を捧げた研究によれば、ネパール系貝葉の梵文法華経写本は、ギルギット写本やチベット語訳と比較的近い、古層に属する写本群と、そうではないものとに大別できる。B系(あるいはグループ)と呼ばれる写本群には、この大英図書館所蔵写本を筆頭に、東京大学総合図書館やネパール国立公文書館に所蔵される貝葉写本のいくつかが分類される。それら以外にも、まだ所属先が十分に解明されていない貝葉写本があり、将来の研究課題となっている。今回の写真版の発刊は、今後の貝葉写本の研究にとって大きな前進となる一歩を踏み出したことになる。


大英図書館への写本贈呈式

  日時:2010年11月23日

  会場:ロンドン・大英図書館(会議センター)

 

『大英図書館所蔵 梵文法華経写本(Or.2204)―写真版』』の贈呈式が、同図書館で開催された。これには東洋哲学研究所の創立者・池田SGI会長がメッセージを寄せた。

 

写本シリーズや法華経関連文物などを展示

 席上、同図書館アジア・アフリカ研究部長のオリバー・アークハート=アーバイン氏に『写真版』が手渡されるとともに、東洋哲学研究所の水船教義委嘱研究員が「写本シリーズ」発足の背景と研究・出版事業の歩みを紹介。写本発刊事業に対して、オックスフォード仏教研究センターのリチャード・ゴンブリッチ会長、大英図書館のマイケル・オキーフ元南アジア収蔵責任者、英国・アイルランド王立アジア協会のキャシー・レイゼンバット図書部長など多数の来賓から賛辞が寄せられた。

 

サム・ファン=シャイク氏の講演

 

また、記念の講演会「法華経の文化的背景」では、同図書館のサム・ファン=シャイク博士が「シルクロードにおける法華経」と題して、ロンドン大学東洋アフリカ研究学院のルチア・ドルチェ博士が「日本での法華経の実践」と題して語った。

 

 

 


池田SGI会長のメッセージ

このたびは、千年の時を経てなお輝く仏教の精華である、貴・大英図書館所蔵「梵文法華経写本」の出版記念レセプションに際して、お世話になりました諸先生方に、満腔の敬意と心からの感謝をお伝えさせていただきます。

法華経は、最も身近にして最も妙なる「生命」の尊厳を人類に語りかける宝典です。創価学会「法華経写本シリーズ」は1997年に『旅順博物館所蔵 梵文法華経断簡―写真版及びローマ字版』を発刊して以来、学術的価値の高い写本を写真版及びローマ字版として12点を刊行してまいりました。
とりわけ貴図書館所蔵本の出版は意義深いものがあります。世界初の校訂本梵文法華経である「ケルン南條本」の底本の一つとなった同写本が写真版となって、各学術機関、専門家の手に渡り、写本研究に大きく貢献できるからです。また複製本なので展示が容易になり、一般の人々が見る機会も増えることでしょう。その意義は精神文化の普及・振興の上からも計りしれません。

法華経の伝播史や教えの概要などを学ぶ姿が



様々な種類の膨大な情報があふれる現代社会にあって、風雪の歳月を勝ち越えた人類の歴史的遺産である写本および書籍は、英知の結晶として光り輝き、真実の道を模索する人々が拠り所とすべき精神的灯台となります。文字そのものに大宇宙の根源の生命力が渦巻いているといっても決して過言ではないでありましょう。この意味で貴図書館のスタッフの皆様は最高に尊貴な世界の宝蔵の守り人といえましょう。

贈呈式が行われた大英図書館会議センター

この機会をお借りして、出版の許可をしていただいた大英図書館評議会のサー・コリン・ルーカス議長ならびに同評議会の方々に謹んで感謝申し上げたいと思います。

また、鮮明なカラー写真を迅速に撮影提供いただいたスーザン・ウィットフィールド博士、ならびに貴図書館の写真部の皆様のご尽力に心より御礼を申し上げます。さらに、多年にわたり梵文写本を管理されてきたマイケル・オキーフ博士のご努力にも最大の感謝の意を表します。

最後に人類の英知の宮殿たる貴図書館の無窮の御隆盛、さらにまた貴図書館と創価学会、イギリスSGI、東洋哲学研究所、創価大学国際仏教学高等研究所の交流がますます発展することを念願し、ごあいさつとさせていただきます。

 

トップへ戻る
ホーム法華経写本概要大英図書館写本