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創価学会「法華経写本シリーズ」13 概要

『ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所所蔵 梵文法華経写本(SI P/5他)―写真版』 

 

ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所のI・F・ポポワ所長は、発刊における「巻頭の辞」でこう述べている。

「今回の梵文法華経の出版は、誇張なしで100年以上におよぶ数世代の収集家、研究者、管理担当者、修復専門家の献身的な営為と努力のたまものであります。本出版に納められた法華経写本は、ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所(IOM RAS)に所蔵されてきたもので、東洋諸民族の写本と典籍を納めた世界最大、かつロシアにおける最も価値あるコレクションの中の『至宝』であります。当研究所の写本コレクションには、65の現存する東洋言語と死語になった東洋言語で書かれた11万5千点以上の収蔵品が保存されています」

 

「SI P/5」、通称「ペトロフスキー本」法華経は、ホータン在住の人物が発見したものと推定され、カシュガル(現在の中国・新疆ウイグル自治区)に駐在していたロシア総領事ニコライ・ペトロフスキー(1837-1908年)が、その大部分を入手。ロシア科学アカデミー東洋古文書研究所の前身である「アジア博物館」に送ったものである。「カシュガル本」とも呼ばれている。

 

法華経の梵本には、ネパール本、ギルギット(カシミール)本、中央アジア(西域)本の3系統があるが、ペトロフスキー本は中央アジア本を代表する写本。9~10世紀の書写とされ、きわめて貴重な法華経研究の基礎文献である。今回、鮮明なカラーの写真版として発刊されたことは法華経研究史上、画期的なこととして注目されている。

 
 また、ヘンドリク・ケルンと南條文雄による世界初の梵文法華経の校訂本、通称「ケルン・南條本」(1908-1912年、5分冊でロシア科学アカデミーが発刊)には、その底本および校訂に7つの写本と2つのテキストが使用された。今回の「ペトロフスキー本」の発刊によって、当「法華経写本シリーズ」は、この7つの写本のうち6つを刊行したことになる。もうひとつの写本(ワッタース将来写本)は現在、保管場所が不明となっており、実質的に、すべての関係写本を網羅できたことになる。

なお、今回の出版には「ペトロフスキー本」の他に、中央アジア系の梵文法華経写本も多数収録されている。

 

  
ニコライ・ペトロフスキー
(Nikolai Petrovsky)。カシュガル駐在のロシア総領事として20年以上(1882-1903年)勤務し、中央アジアから出土した大量の古写本・古典籍を収集。当時の首都サンクトペテルブルクへ送った。

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