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1.「仏教と生命倫理」より

「論文BOX」の中から選んで、各論文の概要やねらい、読みどころについて紹介しています。

「仏教と生命倫理」「仏教と生命倫理」[PDF 2,095kb]

執筆者 川田洋一 氏(東洋哲学研究所所長)

『東洋学術研究』通巻145号(2000年第1号) に掲載された論文です。

【論文の読みどころ】

「生命倫理」という言葉は、一般にもすっかり定着した感があります。

それだけ、遺伝子治療や臓器移植、植物状態、尊厳死、胎児診断などが身近な話題になってきたのでしょう。

生命科学の発展によって、このような「倫理的に許されるのかどうか」「どう考えればよいのか」検討しなければならない問題が増えてきたわけですが、これに対して仏教の観点から考察したのが、この論文です。


 

筆者は、こうした問題の難しさについて「中には、仏教医学の伝統的倫理観からある程度、その方向性をさし示しうるものもあるが、多くの課題は仏教者自らの生死観、人生観に照らして洞察し、行動しつつ、他の人々とともに模索の中から筋道を見出さねばならない性質のものである」と述べ、この論文も「あくまで、私個人の『私案』であり」思索の現状報告であると前置きしています。


 

その上で、具体的には、仏教で説く「生苦」にかかわる生殖医療、また「死苦」にかかわる尊厳死などについて考察しています。


 

まず「生殖医療」ですが、人口妊娠中絶については、仏教の生命尊厳の思想から見て問題があると述べています。

その原則の上で、出産が母体の健康を著しく害する恐れのある場合など種々のケースに触れつつ、「結局は両親の自由意志が最も尊重されるべきであるが、その時両親はこの子は何のためにこの世に顕在化したのか、なぜ、自分達を親として選んだのかを考え、生命顕現の深い意味を洞察することである」と論じています。


 

また遺伝病に対する遺伝子治療の方向には肯定的ですが、「“治療”から“操作”への歯止めだけはかけておかなければならないだろう」としています。


 

さらに人口授精や体外受精についても論じていますが、その際、「何のために子供が欲しいのか、また、その子に何をしてやりたいのかという根本問題を問い直すことを忘れてはならないであろう」と主張しています。


 

また「死苦」にかかわる問題として、「臨死体験」「脳死」「臓器移植」「安楽死」「植物状態と尊厳死」を取り上げ、それぞれ論じています。


 

これに関連して、筆者は 『東洋学術研究』の通巻153号(2004年第2号)にも、論文「法華経と尊厳死・安楽死問題」を執筆しています。

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