ホーム講演会2008年(平成20年)

「社会の変化からみた心の病」

「社会が複雑になり時代が苦しくなると、国民の精神衛生(メンタルヘルス)が強調される傾向があります。昭和の初めに、日本精神衛生協会が発会し、精神衛生運動がおこり、同じ頃に児童虐待防止法も制定されています。

戦後になると精神障害のある人たちは隔離されていくようになります。高度経済成長期にはその傾向がさらに強まっていきますが、徐々に精神障害のある人と健常者との境界がはっきりしなくなっていき、PTSD(心的外傷後ストレス)の診断名でも分かるように、いつ激しいストレスを受け、そのために不安定な精神状態になり、うつ病などになるか分からない時代になってきました。かつては精神障害者と言えば、特別な人間と思われていましたが、現在は誰もが『心の病』になる可能性をもっていると考えるようになってきました。

また常識を超えた奇妙な行動を精神疾患や異常心理によって説明する傾向が強まっていますが、『心の闇』という表現は、思考停止を意味するにすぎません。私は『心の病』は、精神障害や精神疾患というよりも『人生における躓きの表現』だと思います。不登校、家庭での虐待、犯罪や非行、自殺や職場不適応などの背景に『心の病』を考えます」

阿部氏は、このように述べて、「心の病」が、時代の変化によって、そのとらえ方、病名や患者数が変化してきたことを具体的に紹介。「人間は壊れやすい」ことを自覚すべきであり、大切なのは本人の人生観・生死観とともに、支える人の存在であると語った。

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