ホーム講演会2006年(平成18年)

「人格主義の生命倫理――受精時からのヒト胚の尊厳について」

2006年に行われた講演会です(最新順)。肩書は開催当時のもの。


「人格主義の生命倫理――受精時からのヒト胚の尊厳について」(講演の要旨)

講師:秋葉悦子氏 (富山大学教授)


秋葉教授は、まず「初期のヒト胚に、人としての倫理的地位(人格の尊厳)と法的地位(基本的人権)を認めるか否か」で見解が分かれている世界の現状に言及。


その際、「多くのEU諸国は『認める』方針に従い、国内法を新設して初期のヒト胚の人権保護を図っている。国連では議論が分かれたが、2005年、研究目的を含むすべてのヒトのクローニングを禁止する宣言が賛成多数で採択された(賛成84・反対34・棄権37、日本は反対)」と述べ、「日本では2001年、生殖目的のヒトのクローニングを禁止するクローン技術規制法が施行された。しかし初期のヒト胚は『人と物との中間形態』とされて、再生医療への応用が期待されているES細胞を作成するため、不妊治療のために体外で作成されたものの不要になった『余剰胚』を利用(損壊)したり、研究目的でヒトクローン胚を作成して利用(損壊)することが許容されている」と紹介した。


さらに、「認める」立場に大きな影響を与えてきたカトリックの生命倫理学は、①「ヒトの生物学的生命の始まりは受精時である」という発生学の最新成果に基づき、②すべての人間に平等に尊厳と人権を認めるという戦後の国際法の原則を確認したものであり、特定の宗教的立場に依拠しているわけではないと強調した。


また「認めない」立場からは、自意識を具えた人のみを倫理的・法的人格と認める「パーソン論」が台頭してきたが、これは「植物状態の人や新生児の倫理的・法的人格をも否定し、その殺害を認める点で物議を醸している」とし、人間存在そのものに価値を認めるすべて宗教者・哲学者にとって、「パーソン論」は容認できないのではないかと述べた。


また「再生医療」についても、「成人の幹細胞を使用する」など、ES細胞以外の選択肢が研究されている現況を紹介した。


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