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「法華経とシルクロード」展 展示会カタログから「あいさつ」



創立者・池田大作SGI(創価学会インタナショナル)会長あいさつ

ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部は、全世界の仏教研究者、東洋学研究者たちにとって、憧憬の場所である。 バールトリド、アレクセーエフなど、先駆的存在をキラ星のように輩出した東洋学の殿堂である。また、梵語仏典の研究で著名なオルデンブルクや仏教論理学を世界に紹介したシチェルバツコイをはじめとする仏教学の碩学も輩出している。

19世紀後半より、中央アジア、シルクロード各地で貴重な教典類の発見が相次いだ。同研究所に収集された仏教教典、写本類のコレクションは世界的な規模を誇っている。

「法華経とシルクロード」展と銘打った本展は、〝人類の至宝〟ともいうべき同研究所のコレクションのオリジナルとしては海外初の公開である。

「書写の起源」についての伝承

紀元前1世紀のスリランカで大飢饉が起こり、このままでは人間とともに仏教そのものも亡びてしまうという危機感から、仏典の書写が始まったという伝承がある。無論、それまでは口伝であった。

大乗仏教は経典自体が書写を勧奨している。その意義は、一人でも多くの人々に仏教を伝えたいという大乗の精神の表れであろう。本展が、今後の大乗仏教研究に大いなる学術的貢献をなすことを期待するものである。


私は、少年時代からシルクロードヘのあこがれを懐き続けてきた。シルクロードは、"東西文明交流の道"であり、仏教が伝播したルート、"ダルマ・ルート"でもあった。

本展では、多民族共生、多文化共存のモデル・ケースとも言いうるシルクロードの姿に触れることができる。サンスクリット語、パーリ語、漢文、西夏語などの多言語で書写された「法華経」等の経典は、まさに仏教を基調にしたシルクロードの文化がいかに多様な文化を開花させたかを物語っている。

「地球的共生」への智慧

同研究所のヴォロビヨヴァ博士は、1996年11月、日本でお会いした折、法華経の魅力について、「法華経は、人間完成、自己完成への『太陽』であり、『光』である」との識見を示された。「法華経」には、有名な「三草二木の譬え」(薬草喩品)が説かれている。私どもが信奉する日蓮は、その深義を"自体顕照"、"桜梅桃李"と表現し、「多様性を生かす道」を示唆されている。

あらゆる人種、民族、文化の共存、また自然環境との共生を示す"智慧"は、21世紀の「地球的共生の時代」を開く"鍵"であり、「法華経」の真髄である。


最後に本展の開催が、日露間の文化学術交流と両国間の友誼の深化に貢献することを心から願うものである。

創価学会インタナショナル会長 池田大作

ロシア科学アカデミー東洋学研究所代表あいさつ

中国の仏典には、漢の明帝(在位57/58~75/76年)が「金人の夢」によってブッダの教えを求めたとありますが、以来、仏教は中国、朝鮮〔韓国〕、日本へと何世紀にもわたる勝利の行進を開始しました。そして、生きとし生けるものへの愛を説いたその教えは、おびただしい数の信奉者をみるに至りました。

西暦1,000年を過ぎたころ、極東では人類史上最も偉大な技術革新の一つである木版と活字が製作されました。今回の展示は、まさにこの文化史における大偉業を扱った内容になっています。ロシア科学アカデミー東洋学研究所(サンクトペテルブルク支部)の数ある所蔵品の中から稀少かつ貴重な資料を公開するものです。

「東洋の古典籍」の宝庫

東洋の文書、すなわち写本と初期の印刷物は、16世紀末以来、ロシア国内の各図書館の所蔵品として収められるようになりました。

1818年、サンクトペテルブルクで設立されたロシア科学アカデミー・アジア博物館を改組する形で、ソ連科学アカデミー東洋学研究所は、1930年に発足しました。1951年、研究所はモスクワに移転し、東洋写本の部門のみが、レニングラードに残りました。この残った部門が1956年に東洋学研究所レニングラード支部に改編されました。そして1991年、研究所の名称は、ロシア科学アカデミー東洋学研究所(IOS RAS)サンクトペテルブルク支部となり、今日に至っています。

東洋学研究所サンクトペテルブルク支部所蔵の写本と木版本のコレクションは、その規模と構成において東洋の古典籍を世界で最も多く収蔵している施設の一つであるといえるでしょう。

日露の「信頼と協力の精神」を高揚

私どもは、見学者のみなさまに東洋の各言語による『法華経』、及び関連する諸経典を展示し、インドから日本に至る仏教のたどった道の概略を跡づけるようにいたしました。展示品の中には、西域(今日の中華人民共和国・新疆)のオアシス、敦煌、そして廃墟となった都市ハラホトから出土した資料もあります。サンクトペテルブルク・ネヴァ川のほとりの、この東洋の出土品の宝庫は、いかなる国の研究者に対しても開かれたものとなっています。

この展示に来場された、仏教者、研究者、そして東洋の文化遺産への関心を共有するすべての人々が、これらの類まれなる資料を熱意をもって観覧され、その内容に精通されんことを希望いたします。また、この展示は、われわれ二つの隣国、ロシアと日本にとって欠かすことのできない「信頼と協力の精神」を高揚させるものとなるでしょう。

ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部
所長
ヴゲーニ I. クチャーノフ
前所長
ユーリ A. ペトロシャン

東洋哲学研究所代表あいさつ

私ども東洋哲学研究所は、1996年11月30日に宗教、哲学、科学等を含む諸分野における相互の研究協力と学術交流の促進を目的として、ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部と交流協定を締結した。それに基づき、97年5月には同研究所支部の多くの皆様のご尽力を賜り、私どもの「ロシア・センター」をその一室に開設させていただき、以来、同研究所支部のペトロシャン前所長、研究者の方々のご協力によって講演会の開催、学術誌への寄稿など有意義な交流を推進することができた。

この度の「法華経とシルクロード」展は、交流協定の調印式のためにペトロシャン所長(当時)一行が来日された折、創立者の池田大作SGI会長に同研究所支部から「名誉会員」の称号が授与され、その授証式の席上、同所長から提案され、関係の方々のご支援のもとに実現の運びとなったものである。

創立者と東洋学研究所との友好史

SGI会長とソ連科学アカデミー(現ロシア科学アカデミー)、同研究所支部との交流は深く、冷戦のさなかの1974年の秋、初めてロシアを訪問した時にさかのぼる。友情と信頼に基づく学術・文化交流を図るためにSGI会長は、モスクワ大学、レニングラード大学等を訪問し、ソ連科学アカデミーでも交歓のひとときを持ったことに始まる。

以後、SGI会長には、同研究所から「ペトロフスキー本法華経」の複製(写真)、西夏語訳「法華経」を収めたマイクロフィルム、世界初の法華経の校訂本として発刊した「ケルン南条本」の初版本などが贈られている。

ロシア科学アカデミー東洋学研究所サンクトペテルブルク支部は、シルクロード地域の調査・研究によって発掘・収集された貴重な仏教経典、写本類などを所蔵し、その膨大なコレクションは世界的な価値と規模を誇る。本展には、世界有数の同研究所支部所蔵の法華経を中心にした写本・木版本など、サンスクリット語、漢文、西夏語、ソグド語、ホータン・サカ語、古ウイグル語など14の言語からなる47件の人類の宝ともいうべき貴重な資料が出展されている。オリジナルとしては世界初の公開になり、仏教及び東洋学の研究者等の学術研究に貴重な示唆を与え得るであろう。また、最後になったが、今回の展示を通じてロシアと日本の友好が更に深まることを願っている。

東洋哲学研究所
代表理事
森田康夫
所長
川田洋一
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